3 応募者の研究遂行能力及び研究環境
( 1 ) こ れ ま で の 研 究 活 動
①研究代表者
奥村(日本体育大学)は、小学校図画工作科学習指導要領の改訂に担当教科調査官(2008)及び作成協力者(1998、2017)として関わるとともに、国立教育政策研究所が実施した「特定の課題に関する調査(図画工作・美術)」(2011)及び「学習指導要領実施状況調査(図画工作・美術)」(2012・2013)の問題作成と分析に携わる。主に、図画工作科教育を専門とし、美術教育における学力分析研究を継続している(前掲注7及び8)。
②研究分担者
研究課題Ⅰ:実地調査チーム
藤井(大分大学)は美術教育の立場から、大分県における探究学習のプログラム開発を行う(前掲注5)。芸術統合型学習プログラムの内容と児童のパフォーマンス課題の評価方法に言及する。
小池(横浜国立大学)は、国際バカロレア(InternationalBaccalaureate)プログラムについて,国内外の初等教育・中等教育等の調査を実施し、国際バカロレアの統合的な教育プログラムと美術教育の関連、その理論的基盤の検討を行う(前掲注6及び16)。
一條(東京国立近代美術館)は、国内及び、欧州、アジア、オセアニア、米国等の美術館を対象に、美術館を中心として探究的な鑑賞教育が行われている実際を調査した(前掲注3)。国内外の美術館との人的ネットワークを有する。
畑山(東京家政大学)は、STEAM教育におけるArts(特に美術教育)の役割を他に先駆けて研究してきた。STEAM教育関連論文や実践事例のレビューを行い、日本版STEAM教育の構想に言及する(前掲注1)。
・平成31―令和3年度科学研究費助成事業若手研究「Artsの 視座からのSTEAM教育の検討に基づいた日本の独自性を担保 する授業開発」(研究代表者:畑山未央)
研究課題Ⅱ:統計分析チーム
宮本(東北大学)は、児童期の学力(算数と国語)の発達的様相と規定要因を、小学校6年間に渡って収集された標準学力テストと質問紙調査の縦断データから実証的に明らかにしてきた。現在、学力の三要素と関連づけた、美術教育の観点からの学力を測定する尺度の、妥当性・信頼性や諸変数との関連性についての統計的分析を担当する。また、2017年より、国立教育政策研究所国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)国内専門委員を務める。
・「小学校6年間の学力変化の分析」宮本友弘『日本テスト学会誌』 第14巻第1号、pp31-50、2018
・『児童期の学力の発達に関する縦断的研究』宮本弘、風間書房、 2019
大泉(早稲田大学)は、テキストマイニングや動画による発話分析などを用いて、図画工作科と他教科を横断的に比較する研究や,小・中・高校の図画工作及び美術科、芸術科の授業を横断的に比較する研究を行う。
・「図画工作・美術科における教師の発話に関する実践研究・VI- 図画工作科、算数科、社会科の授業比較分析から-」大泉義一『 美術教育学第39号』pp.65-78、2018
・「図画工作・美術科の授業における教師の発話に関する実践研究・VII-小学校、中学校、高等学校の授業比較分析から‐」大泉義一 ・吉田岳雄『美術教育学』第40号、pp.65-79、2019
研究課題Ⅲ:教育課程チーム
東良(国立教育政策研究所)は、文部科学省視学官として国内外の教育課程行政に携わるとともに、中学校美術科及び高等学校芸術(美術・工芸)学習指導要領の改訂に担当教科調査官(2017)及び作成協力 者(2008)、国立教育政策研究所が実施した「学習指導要領実施状況 調査(図画工作・美術)」(2012・2013)の問題作成と分析に関わる。
・「図画工作科、美術科、芸術家(美術、工芸)とアクティブラーニ ング」東良雅人『アクティブラーニングを考える』東洋館出版社、 pp.186-187、2016
松本(名古屋学院大学)は、学習の科学(science of learning)や社会文化的アプローチなどを統合した教授・学習論を専門とし、アクティブラーニングで芸術(教育)が果たす役割に注目する。ポスター制作や演劇を取り入れた芸術統合型学習を自ら実践し、芸術統合型学習を自らの教授・学習論に位置づける構想を有する。
・「ひとの学びの性質をふまえた授業づくりの原理とプロセス―自身の授 業実践を振り返って」松本浩司『名古屋学院大学論集社会科学篇』第 51巻第2号、pp.189-219、2014
・「パフォーマンスとしてのアクティブラーニング―発達的パフォーマティ ブな教授・学習」松本浩司『名古屋学院大学ディスカッションペーパー』 第114号、2016
永田(文教大学)は、数学教育を専門とし、探究型のカリキュラム開発を研究している。中学校数学科学習指導要領の改訂に担当教科調査官(2008)として関わるとともに、国立教育政策研究所が実施した「全国学力・学習状況調査(数学)」(2007-2011)及び「学習指導要領実施状況調査(数学)」(2013)の問題作成と分析に携わる。
・「課題探究として証明することのカリキュラム開発-領域「資料の活用」 における指導法の開発に向けて」永田潤一郎・他4名『日本科学教育学 会年会論文集』第41号、pp.49-52、2017
西口(大分大学)は、科学教育の立場から、大分県における探究学習のプログラム開発を行う(前掲注5)。芸術統合型学習プログラムの内容と児童のパフォーマンス課題の評価方法に言及する。
( 2 ) 研 究 環 境 ( 研 究 遂 行 に 必 要 な 研 究 施 設 ・ 設 備 ・ 研 究 資 料 等 を 含 む )
研究代表者及び研究分担者は、すべて国立及び私立の研究機関に属しており、研究を展開していくための研究室、機材、ソフトウェア等の施設・設備は整っている。また、チーム全体として、国内の小中学校、高等学校の関係者及び、国内外の教育行政担当者、美術館学芸員、国際バカロレア教育関係者、芸術統合型教育を行っている学校等との幅広いネットワークを有しており、実地調査における協力関係が既に構築されている。
また、様々な学力調査の問題作成や分析に係る担当官や委員等を務め、学力調査に関わる統計的分析に必要なノウハウ等を保有・蓄積している。